六連星手芸部員が何か書くよ

基本的には、ツイッターに自分が上げたネタのまとめ、アニメや漫画の感想、考察、レビュー、再現料理など。 本音を言えばあみぐるまーです。制作したヒトガタあみぐるみについて、使用毛糸や何を考えて編んだか等を書いています。

ダイエットのお供に豆腐ハンバーグ

高タンパク低カロリーでたくさん食べられます。鶏挽き肉は胸肉を使った方が脂身は少ないですが、ボソボソしてあまり美味しくないので、モモ肉推奨です。

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鶏モモ挽き肉200g
木綿豆腐1丁
玉ねぎ1/2
卵1個
パン粉大匙1
おろし生姜小匙1
醤油小匙1
塩胡椒少々

豆腐はサイコロカットの後にレンチン600w3分程で水分を飛ばします。材料を全て混ぜ合わせたら、胡麻油をひいて蒸し焼きにし、蓋をとって両面をキツネ色に焼きます。オーブンよりも蒸し焼き推奨です。

後はお好みでキノコ類や盛り付け時に大根おろし、大葉、水菜等。

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本気でダイエットを考えるなら、栄養学や料理を勉強しましょう。民間療法とか食事制限とかは逆効果ですので。

 

初心者に優しい手抜きデミグラハンバーグ

ハンバーグは手間と金が掛かる料理である、という誤解が広がっているようなのでちょいと一筆。

①材料
・ハンバーグのたね(2個分)
豚ひき肉(200g)
玉ねぎ(小1個)
卵(1個)
パン粉(大さじ1)
ヨーグルト(大さじ1)
塩、胡椒(少々)

・簡易デミグラスソース
ケチャップ(大さじ1)
ウスターソース(大さじ1)

小麦粉?粉ゼラチン?そんなの使った事ないです。複雑な材料や手順は失敗の元。最初はなるべくシンプルに。

②調理手順
まず、お勧めしたい調理器具がタジン鍋。場所を取るという欠点を除けば、焦げにくい、直火もオーブン調理にも対応、丈夫で安価、炒め物から鍋まで幅広く使えると使い勝手がすごく良い鍋です。

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(1)微塵切りにした玉ねぎを飴色になるまで弱火で炒める。少量のオリーブオイルをフライパンに敷き、焦がさないように適度に水を加えて炒める。

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(2)材料を全て混ぜて捏ね、小判型を2つ作る。卵をとく?お菓子作りじゃないんだし、そんな丁寧なことしなくていいです。

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(3)オリーブオイルを少量敷き(タジン鍋なら不要)両面をこれ位の色が付くまで焼いたら、蓋をして弱火で10分蒸し焼きにします。(あれば白ワインや酒、無ければ水で可。50mlほど。タジン鍋なら不要)
タジン鍋の場合、オーブンがあればそのまま突っ込み、余熱あり180℃で10分焼いても良いです。こっちのが楽。(露骨なタジン鍋推し。でも、フライパンをこれから買うというならコッチを勧めます)

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(4)デミグラスソースは、ケチャップとウスターソースを大さじ1ずつ混ぜます。以上。それだけ。

付け合わせは玉ねぎ炒めたり、ハンバーグを蒸し焼きにしてる間に片手間で作ります。慣れたらやってみましょう。

ちなみに、挽肉が合挽きではなく豚のみ、調味料にヨーグルトを使うというのは、新宿にあるハンバーグ専門店「ハンバーグウィル」が元ネタです。美味しい料理を作るためには、美味しいものを食べて美味しいという感覚を養うことが何より大事だと思います。

鶏はむのスープカレーのレシピ

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動画で出すつもりでしたが、諸事情で無理になったので、こちらで紹介。

 

①鶏はむ

鶏胸肉1枚当たり、砂糖(または蜂蜜)小さじ1、塩大さじ1、胡椒満遍なく、を順番に擦り込む

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ラップして冷蔵庫で1〜2日寝かせる

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水300ml当たり塩小さじ1を溶かし、水洗いした胸肉を30分程浸けて塩抜きする

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胸肉1枚当たり500mlのお湯を沸かし、昆布と胸肉を入れて火にかけ、再度沸騰したら火から下ろし粗熱が取れたら冷蔵庫へ

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濾したスープに浸けて保存、消費期限は一週間程度だが、賞味期限は3日程度

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スープカレー

トマトジュース1本

カレー粉大さじ1

ガラムマサラ小さじ1

大蒜1片

生姜1かけ(大蒜と同量)

鶏はむスープ300ml

玉ねぎ1/2

具材は好みで

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微塵切りした玉ねぎ、大蒜、生姜をオリーブオイルでしんなりするまで炒める

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トマトジュース、カレー粉、ガラムマサラ、鶏はむスープを加え、10分程度火にかけたらスープは完成

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野菜は油通ししてから炒める(素揚げした方が楽)

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器に盛り付けて完成

ガラムマサラは少量でも辛いので、量は好みで調整

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今月の料理 2017年9月

三ツ矢サイダー酢橘(酢橘の蜂蜜漬け)

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幸水梨のコンポート

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マグロカマの煮付け

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つくね

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かぼすと生姜の蜂蜜漬け

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水抜きヨーグルトのケーキ

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懐かしの鶏はむwith食べるラー油

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鶏はむのスープ

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 鶏はむのスープカレー

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羽根付き餃子

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『プリンセス・プリンシパル』時系列順簡易感想

・あらすじ

重力制御装置‪"ケイバーライト"の開発により、栄華を極めていたアルビニオン王国。しかし、革命によって共和国と王国とに分断された事により壁が築かれた首都ロンドンは、各国のスパイがひしめく影の戦争の最前線となっていた。王国領に属する名門校クイーンズ・メイフェア校に通う5人の少女達は、身分を偽り、共和国の諜報組織"コントロール"のスパイとして暗躍する。

 

 ‪#02「case1 Dancy Conspiracy」‬
‪共和国のスパイ"アンジェ"は、自身を王国のプリンセスと入れ替えるチェンジリング作戦のために、王位継承第四位"シャーロット"に接触する。作戦の最中、別命を受けた彼女だったが、接触したプリンセスからある取引を持ち掛けられる。‬

‪アンジェとプリンセスが、チェンジリング作戦の立案以前から旧知の仲であった事が明かされる、回想を除いた時系列の最初のエピソード。再会時の二人の会話のやりとりは、初見時では初対面を装うやりとりでしかないが、「case20」を視聴した後に改めて観返す事で、劇中でも屈指の名場面に変貌する。‬

 

‪#03「case2 Vice Voice」‬
‪取引によりコントロールに加わる事となった、シャーロットとその侍女であり友人のベアトリス。彼女達の元に、空輸される活版を奪取するよう指令が下る。姫の手引きでセキュリティが解除され、アンジェと共に船内に侵入するベアトリスだったが、彼女への不信感を拭えないまま任務に臨み…?

‪第1話で披露されたベアトリスの変声術の正体が明かされ、彼女達の背景にも只ならぬ事情がある事が突きつけられた。スパイ任務では、通信網を抑え、船内の状況やターゲットの所在を把握する手腕が見事。また、敵軍人とのカマの掛け合いは非常にスリリングで、対峙する一般兵ですらこの作品では一筋縄ではいかない。‬

 

 ‪#05「case7 Bullet Blade's Ballad」‬
‪日本からの外交特使を出迎えるシャーロット達の前に、特使暗殺を察知した佐賀藩士族の少女"ちせ"が現れる。暗殺者の名は藤堂十兵衞。移動中の列車を爆破、分断して強襲してきた彼を、ちせ達は迎え撃つが…。‬

‪異国の暗殺者"ちせ"による殺陣アクション回。作画はほぼ全てを江畑諒真氏が担当したという驚異の一話。彼女の生い立ちや背景は、やはりベアト同様に多くは語られないが、ちせ加入までのシナリオ進行とキャラ紹介の匙加減が絶妙と言わざるを得ない。ラストの「痛いの痛いの飛んでけー…」が辛過ぎる…。‬ 

‪#04「case9 Roaming Pigeons」‬
‪訓練と任務を重ねながら親交を深めて行く五人。しかし、プリンセスへの不信感を拭えないコントロール司令"L"は、ドロシーに対して彼女の二重スパイの可能性を探る密命を下す。そんな中、王国が無重力発生装置の小型化に成功したという情報が入り…。‬

‪プリンセスと王室との関係の一端が描写され、彼女を気遣う女王に対し、政略結婚を目論むノルマンディ公の存在から、王室が決して一枚岩ではない事が示唆された。任務ではドロシーのカーアクションが見所。そして、アンジェの残した「ダメ、歯止めが効かなくなる」という名言(?)は、多くの紳士淑女の妄想を掻き立てた。‬

 

‪#09「case11 Pell-mell Duel」‬
‪ちせが留学して四ヶ月、彼女は慣れない西洋文化と葛藤しながら、王国と共和国、どちらが日本の利となるかの見聞役の命を受けながらコントロールに身を置いていた。ある日、貴族の男子から祖国を侮辱されたちせは、プリンセスの後押しで彼と決闘する事になる。‬

放送順では後半の箸休め&コメディ回だが、時系列順に並べても、キャラやシナリオの確認、前半の総括的な位置付けの話である事が分かる。こうして打ち解けていったと思う一方、腹の探り合いは続いているのだろうか?スパイアニメのハズだが、当時の決闘のルールや使用武器、介添人や立会人の役割等が詳細に描写された。きんつばに魅了されるちせ。ちせ、可愛いよ、ちせ。‬

 

‪#01「case13 Wired Liar」‬
‪共和国への亡命を求めるケイバーライト研究者"エリック"の身柄を保護したアンジェ達のチームは、彼から亡命理由を聞く中で、妹も一緒に亡命させてくれるよう依頼を受ける。事実の裏付けを行う為に調査を行うアンジェ達だが、その末に彼の真意が明らかになる。‬

放送順では第一話だが、時系列的にはほぼ中間に当たる話。冒頭からハッタリの効いたアクションで魅せてくれる。また、スパイチームのそれぞれが役割に手慣れてきている事で、ストレス無く物語を観る事が出来る。主人公が敵諜報員の首に注射器を突き立てたり射殺したりと、初回から見た目に騙されていた事に気付いた視聴者は多いハズ。‬

 

‪#07「case16 Loudly Laundry」‬
神経ガスを用いた共和国要人の暗殺が"毒ガスジャック"として世間を震撼させていた。犯人が王国軍の軍服を着て犯行に及んでいた事から、アンジェ達は軍御用達の洗濯工場に潜入し、証拠品探しを始める。しかし、どうにも設備の調子がおかしくて…?‬

‪放送順での前話に打ちのめされた視聴者に向けた(?)スパイとしての日常回。同時に、プリンセスにとっての改革を小さな規模で描いた、という見方が議論されている。毒ガスでの凄惨な死体の描写をベアトのリアクションで表現したり、アンジェがプリンセスを文字通りお姫様抱っこでお持ち帰りしたりと、キャラ描写も色々と抜かりない。‬

 

‪#06「case18 Rouge Morgue」‬
‪機密文書を体内に隠したまま死亡した諜報員がモルグの死体安置所に運ばれてくる…。適任としてコントロールより使令を受けたドロシーとベアト。潜入先で父親と再会したドロシーだったが、モルグには、踏み入れた者の半数が生きて帰れないという不吉な噂があり…。‬

ベアト、ちせに続く、ドロシーと父親との関係を描いたエピソード。アルコール依存からのDV描写が容赦無い。…が、それ以上に、陽気な音楽と合唱をバックに描かれるラストが本当に容赦無く、数多の視聴者の心を抉った。ベアトが居なければ雰囲気が重過ぎる回だが、あのラストの悲壮さもベアト抜きでは成立しない皮肉。‬

 

 ‪#08「case20 Ripper Dipper」‬
‪不穏な動きを見せるオライリー卿の密会相手を探る為、彼を監視する事になったアンジェ達。プリンセスの無茶振りにより、監視任務に加えて彼女の替え玉を務める事になったアンジェは、任務の最中親しくなったスリの少女に、黒蜥蜴星の王女とスリの物語を語り聞かせる。

「case01」から劇中で描写されていた、"チェンジリング作戦以前より、アンジェとシャーロットは入れ替わっていた"という二人の秘密、その真相が明かされる回想編。シナリオのベースはおそらく、アメリカの児童文学『王子と乞食』。本物のアンジェ=現プリンセスの体験した地獄、そして、アンジェとシャーロットの絆は、どちらも、とても言葉では言い表すことが出来ない。

 

‪#10「case22 Comfort Comrade」‬
‪クリスマスの夜、アンジェ達に海軍卿の居城から機密文書を奪取する指令が下る。城内へと侵入したアンジェ達を出迎えた協力者は、かつてスパイ養成所で同期だった"委員長"。久し振りの再開で話に花を咲かせる彼女達だったが、委員長にはある疑惑があり…?‬

再び巡ってきた過酷なドロシー回。…であると同時に、苛烈な百合回としての側面も持つように思われる。様々な表情を見せるベアトがあまりにも可愛いが、物語の非情さはそれでカバー出来るレベルを超えており、ラストシーンの衝撃がそれに拍車を掛けた。ちなみに、委員長を演じた大橋彩香さんは、3㎐の前作『フリップフラッパーズ』において、メインキャラ"ヤヤカ"を演じている。幼馴染の少女を気に掛けながらベコニアを育む…と言えば、ピンとくる方はくるのでは?‬

 

‪#11「case23 Humble Double」‬
‪コントロールの実権を軍部が握り、不確定要素を排除すべくプリンセスの暗殺命令が下される。自らその任を引き受けたアンジェだが、状況を打破する術を見付ける事が出来ず、監視の目を欺いてプリンセスをカサブランカへと逃がそうとするが…。

前話の引きから続く、プリンセス暗殺命令が実行に移される極限状態の中、冷静を装い周囲の状況を確認していくアンジェ。アンジェとプリンセスのタッグにかかれば、訓練された諜報員が束になってもまるで敵わない、が…組織を相手にするという非情な現実の前に、遂に黒蜥蜴星人が弱みを見せてしまう…。‬実は、チェンジリング作戦により、11話、12話は脚本家が大河内氏から変わっている。

 

 ‪#12「case24 Fall of the Wall」‬
‪あの時交わした、約束の為に…。‬

 

以上、12話。


今月の料理 2017年8月

エビチリ

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手羽トロ唐揚げとホロホロスペアリブ

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天津飯

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鳥はむラーメン

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茄子の肉味噌炒め

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新秋刀魚と鯵のお造り

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バッター液で作るお好み焼き

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煮染め

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すだちジュース

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豆鯵の南蛮漬け

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箱庭の並行世界への逃避行『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』解釈と考察、感想

まず前提として、自分はこの映画、完全に初見というわけではなく、10年以上前になりますが原作ドラマの映画版を見てます。なので、ややうろ覚えではありましたが物語の大筋の内容は知っている状態での鑑賞です。したがって自分は、余計な事を考えながら観る余裕があったんじゃないかと思います。

 

・あらすじ

夏休みの登校日、プール掃除当番だった典道と祐介は、密かに想いを寄せるクラスメートのなずなと一緒に50m競泳で勝負をする事になる。「私が勝ったら何でもいう事聞くこと」そんな条件を出したなずな。なずなは勝負に勝った祐介を花火大会に誘うが彼は約束をすっぽかしてしまう。一方、そんななずなと鉢合わせた典道は、彼女が母親に無理矢理連れ戻される姿を目撃するが、これを制止する事が出来ず祐介に怒りをぶつける。

「もし、あの時俺が勝負に勝っていたら…」

典道がなずなの残したガラス玉に願いを掛けた時、世界の情景が巻き戻っていく…。

 

・原作ドラマとの差異について
所々描写に差異はありますが、原作の雰囲気を結構忠実に再現しているのではないかと思います。キャラデザについて「ガハラさんみたい」って巷では言われてますが、ここで重要なのは二人の身長差です。原作から分かりやすいくらい狙ってる設定なんですけど、女の子の方が成熟が早くて背が高いんですよね。これが重要であって、顔立ちとかは本作の本質にとっては二の次です。また、原作のなずなの雰囲気について、自分はある種のポルノビデオのような演出がされているのではないかと思ってます。小学生が男女二人っきりで夜の学校のプールに忍び込んでスク水で泳ぐ、この字面からしてちょっとヤバい雰囲気がありますが、実際、健全な映像を撮ろうという意図は個人的には感じられなかったです。現在ではそんな企画は通らないんじゃないかと思います。そして、未成熟で無防備であるが故の色気みたいなモノはアニメでも典道というフィルターを通して表現されていたと思います。ただ、アニメの方が生々しさが無いので、ある意味でマイルドな表現になってる気がします。そして、主演二人の演技については棒読みでも何でもなかったと思います。キャラデザと声質は一致してましたし、舌ったらずな幼さも、辿々しい幼さも、どっちもキャラクターに合致してました。抑揚が変だったり演技に感情が乗ってなければ棒読みですが、別にそんな印象は受けませんでした。あと、男子四バカが想い人を叫ぶシーン、原作だと眼鏡君は「セーラームーン」って叫ぶんですけど、ここは変えて欲しくなかったかな?

 

・本作はタイムリープを題材にしているのか

本作のキャッチコピーは「繰り返される夏の日、何度でも君に恋をする」となっており、いかにも『時をかける少女』で描かれたようなタイムリープを連想させます。しかし、劇中の描写はそうではありません。上記では、世界の情景が巻き戻ると表現しましたが、実際には二人は同じ世界を繰り返していたわけではなく、現実とは物理法則が異なる世界を過ごしています。それは、劇中で描かれた花火の描写から明らかです。本来、花火は爆発地点から同心円状に広がる、つまり球体になるモノですが、やり直した世界で横から見た花火は円状に広がっていました。典道はこの世界は間違っていると言い、もしも玉を使って再び選択をやり直します。同時に、典道にとってなずなと一緒に居られない世界とは物理法則が歪んでいる位には有り得ない世界である、というメタファとしての意味合いもあると思います。いずれにせよ、劇中の描写はタイムリープではなく並行世界への二人のささやかな逃避行です。

 

・もしも玉とは

典道が願いを掛けて投げる事で選択をやり直す事が出来るモノ。なずなが偶然海で拾ったそのガラス玉は、回想からなずなの亡くなった父親の所有物であったことが示唆されていますが、誰が何の為に作ったのか等、詳細は一切明かされません。唯一これに言及したのは酔い潰れたマダオこと花火師のおっちゃんです。彼は、これを花火玉だと言って空に打ち上げますが、これはそのままの意味で受け取っても良いのではないかと思います。もしも玉が打ち上げられ砕け散るまで、二人はそれがどのような色形になるか分からない世界で逃避行を続けていました。クライマックスで二人が訪れた世界はドーム状のガラスに覆われた世界であり、もしも玉が砕け散るのと同時に世界を覆うドームもまた砕け散っていきます。自分はこの世界をもしも玉の中にある箱庭だと解釈しました。箱庭の世界で何かを得て現実の世界に帰っていく…、プレイセラピーみたいですね。

 

・ラストシーンについて

さて、子供にとっての引っ越しとはこれまでの関係性が崩壊する一大事です。大事な人に一生会えないんじゃないか、そんな予感すら抱くかもしれません。簡単には会いに行けないし連絡だって取れない。劇中には携帯電話の描写だって無かったですしね。そういった危機的状況に後押しされ二人は逃避行に出るわけですが、その果てで、砕け散ったもしも玉の中からあるポートレートを見付けます。典道がなずなの手を握るこのカットは、これまでの思い出にはないモノであり、二人が現実の世界で手に取ることができる"もしも"の可能性です。この場面こそが描かれなかったラストカットだと思います。東京デートのポートレートだって色々あったわけですが、これを選んでしまうと想像の余地が消えてしまうんです。先生が点呼を取る中、教室に居ない典道というラストシーン。学校をサボって新学期の初日に彼女の出発を見送ったのか、はたまた、こらはもう少し先の未来でこっそり遊びに来た彼女を出迎えに行ったのか、実際にどうであったかは観客に委ねられていますが、想像すればするほど甘酸っぱいラストです。

 

・総括

最後に自分が考えた物語全体の解釈を書きます。なずなにとって引っ越しとは大事な人と引き離される一大事であり、典道にとってもそれは同様でそれを回避する為に彼は奮闘しました。しかし、それはどこまで行っても一時的なモノであり並行世界への逃避に過ぎなかったと思います。上記ではその並行世界を箱庭と称しました。やや端折った解説をすると、今作において二人はその箱庭の世界の中に自分達にとってこうであったら良いな、という景色を作ることを模索したのだと思います。その試みは途中まで、もしもあの時ああしていたら、という過去に向けた感情でした。しかし、もしも玉が砕けてしまった時、二人は未来のことを想像します。東京まで行って、プリクラを撮って、水族館へ行って、遊園地へ行って…、そしてその中に自分がラストカットだと予想した直近の未来を想像出来たのだと思います。過去に向けていた"もしもああだったら"という感情が、未来に向けた"もしもああなれたら"という感情に昇華した。もしも玉が砕けた時、心象が過去から未来へ、世界が並行から現実へ、それぞれ転換しています。もし、この解釈が許容されるのであれば、やはりラストカットはああして想像に委ねる形で良いのではないかと思います。