六連星手芸部員が何か書くよ

お基本的には、ツイッターに自分が上げたネタのまとめ。アニメや漫画の感想、考察、レヴュー、再現料理など。

どうしても主張されたい医療従事者の方々へ

介護や看護、療育等、医療や福祉に携わる方々が職場でのエピソードを文章や漫画にまとめてSNSに投稿し、大きな反響を呼んで拡散される、といった事がしばしば見られるかと思います。担当医のムカつく話、モンスターペアレントとのトラブル、クライアントとのほっこりエピソード、心に刺さる話、各々の主張は理解出来ますし、ためになる内容のモノもあります。中には社会に一石を投じるような内容のモノもあるでしょう。その内容や主張に関しては、私は頭ごなしに否定する意図は一切ありません。これは大前提です。おっしゃっている事はわかります。


ただ、主張されている内容は否定しませんが、それらを公開した行動には問題があります。それらの行為は、個人を特定出来ないように内容が改変されていない場合、確実に医療従事者に課せられる守秘義務に抵触するからです。


守秘義務とは

詳細は各々の下記リンクから読んで頂くとして、医療従事者には守秘義務が課せられています。要約すると「職務上知り得た個人情報は、特定の条件下を除き個人を特定出来る形で口外してはならない」という内容です。そしてこれらは、違反した場合は資格剥奪に直結するくらいには重い規定です。ここでいう特定の条件下とは「病状について家族と情報を共有する承諾を得る」「症例について個人を特定出来ないよう配慮した上で、論文や学会等で発表する承諾を得る」「ケースカンファレンスにおける集団守秘」等が挙げられますが、いずれにせよ軽々しく口外するケースは認められていない、という事が伝わるかと思います。

医師の職業倫理指針[第3版]
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20161012_2.pdf

看護者の倫理綱領 | 日本看護協会

倫理綱領 - 公益社団法人 日本介護福祉士会

一般社団法人日本臨床心理士会倫理綱領
http://www.jsccp.jp/about/pdf/sta_5_rinrikoryo0904.pdf


守秘義務に反する事の何が問題なのか

詳細を記述していくとキリが無いので掻い摘んで書きますが、クライアントの個人情報や容態を口外してしまう医者にかかりたいと思いますか?周囲からの差別や偏見、学校や職場でのトラブルへの派生、診療への悪影響、様々な事が起こります。もし、守秘義務が軽視され、こういった事態が頻発してしまえば医療や福祉のシステムは崩壊するでしょう。


③ではどう主張したら良いのか

「仕事の事で愚痴っちゃダメなの?」と思われる方がいるかもしれませんが、上記の通りダメなモノはダメです。そういった葛藤はケースカンファレンスにおける集団守秘やスーパーバイズの中で処理していく事が求められます。そういった葛藤に耐えられずに辞めていく方が一定数いる事や、医療や福祉、介護従事者に対する社会的なケアが不十分である事、クライアントとのトラブルにおいて医療従事者の人権が軽視されがちである事等にも様々な議論があると思いますが、ここでは本題から外れる為これ以上は言及しません。

話が逸れましたが、守秘義務に反するような投稿に関して一つ提案出来る事があるとすれば、それは「投稿内容の主張の本質は変えずに、シチュエーションや登場人物を個人が特定されない形で改変する」事くらいなのではないかなと思います。これは事例論文(ケース論文)における症例報告に当たり、クライアントの個人情報が特定されない為に取られる措置ですが、SNSへの投稿に際しても同様の方法論を用いる事が出来るのではないかと思われます。

例えば「病院での親子トラブル」を「喫茶店で見かけた光景」と記述する、「主治医」を「上司」と置き換える、「登場人物の性別や年齢、容姿、父母等の社会的役割」等も改変する、等の対応が考えられます。どこまでがフィクションかわからないような改変を施し、その上で主張したい内容を盛り込む事が出来、かつ、実在の人物の個人情報に配慮し必要な改変を行ったという事を併記すれば、あるいは守秘義務に反しない場合もあるかと思います。

ただ、推奨するものではありません。これが最大限の譲歩だろうと思われます。


以上