六連星手芸部員が何か書くよ

基本的には、ツイッターに自分が上げたネタのまとめ、アニメや漫画の感想、考察、レビュー、再現料理など。 本音を言えばあみぐるまーです。制作したヒトガタあみぐるみについて、使用毛糸や何を考えて編んだか等を書いています。

ネタバレ感想『シン・ゴジラ』

初日と翌日、『シン・ゴジラ』を2日連続で観てきました。

もう観た方、ネタバレ大丈夫という方だけ下記へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじは他の人が書いてるだろうから、思った事だけ羅列して。
ゴジラの知識は、平成のvsシリーズ全作観たのと、それ以前の作品は虫食い状態の視聴。
あと、ちょっと横道に逸れた所では、平成のガメラ三部作とモスラ三部作は観た。

・総評
観て、すごく満足感があった。面白かったというか、すごかった。
ヒューマンドラマ要素皆無なのに、所々泣けるし、人間賛歌してる感じが伝わってきた。不思議。人間賛歌というより、究極の単一生命体ゴジラに対して、群体としての生命である人間の底力、強さをこれでもかと描いていたように思う。
ゴジラシリーズをそれなりの本数観てきたけど、ゴジラを恐ろしいと感じたのは初めてだった。絶望感で泣ける映画ってのもそうそう無いんじゃないかと思う。
映画館を出た時、東京の街並がいつも通りで心底安堵した。

ゴジラについて
まず思った事は「誰だお前は!?」って事。「徹底的に情報統制されてたけど、別の怪獣も出てくるのか?」「こいつをゴジラが踏み潰すのか?」等、初見ではこの辺、色々と混乱しながら観てた気がする。で、立ち上がった瞬間に「お前がそうなのかよ!!」って。ここまで来たら、ゴジラのイメージとかCGの違和感とかは頭の中からは消し飛んでた。
中盤まで話が飛んで、放射能熱線のシーン。ここはもう「終わった…」と思った。もう長い事、どちらかというと対怪獣、対兵器として使用されてきた放射能熱線なだけに、これが真っ向から人類に向けられた描写が、これほど恐怖心を煽るとは思わなかった。それこそ、核攻撃で東京に穴を開け、共倒れする結末も有り得るんじゃないかと覚悟した。

・会議シーンついて
会議シーンが多いというのは、この映画を観た人なら誰でも感じる所だろうと思う。では、退屈だったのかと言えば、とにかくテンポが早いので、自分はそうは感じなかった。むしろ、矢継ぎ早に字幕が挿入される為、退屈どころか息つく暇もないくらい。おそらく、初見で全てを理解させる気は無いに等しい構成になっていたと思う。それでも、大筋の対応くらいはだいたい分かる情報量だったし、時々笑いを挟んで息抜きさせつつ、短いカット割で進行することで長さを感じさせないようになっていたと思う。

・カット割について
とにかくカット割が非常に多い。多い時はカメラ7台同時に回したというのも納得の多さ。上記の通り、これは全体のテンポを良くする事に寄与してたと思うんだけど、それとは別に、所々に挿入される長いカットのシーンを際立たせていたように思う。個人的に印象的だったのが、おばちゃんがおにぎり配るシーン、国連が核攻撃を決定した後総理代行が「そうだよなぁ…」って呟くシーン、海外の研究機関のおばあちゃんが「人間を信じましょう」と語るシーン、ヤシオリ作戦開始時の矢口の演説etc...etc...。状況説明は徹底的に短縮する一方で、割くべき所には絶対的に時間を割いていたんじゃないかと思う。

・登場人物について
キャラが多過ぎるので、感情移入した人、しなかった人がいるけれど、個人的には劇中登場した総理のキャラが、対称的で面白かった。ちょうど場面が大きく転換する所での交代という事もあり、個性が際立っていたように思う。冒頭で優柔不断さを見せていた総理が、自衛隊に攻撃中止を命令するシーン、賛否あるだろうけど、それまでの積み重ねがあった上でのアレはカッコ良かった。一方の総理代行は、最初は頼りなさそうな感じがあるんだけど、だんだんと物事に動じない大物振りが垣間見えて、劇中で評された通りの狸だったなと。
劇中ではキャラクターの情報について、必要最低限、それこそ、戦闘単位としての役職程度の紹介しかされていないのだけれど、背景美術やちょっとした行動から、映画を観た人達の中で勝手にキャラ付けされていく様が興味深い。秋田県出身の総理とか、おにぎりのおばちゃんとか、あとは、制作も想定してなかったであろう"水ドン"の謎の人気とか。魅力的なキャラクターを生み出す上で、細々と説明する必要なんて無い、なんて事実を突きつけられてる気がした。
あと、パトレイバーへの既視感の正体が、防衛大臣を演じた余貴美子さんの声質が、パトレイバーでしのぶを演じた榊原良子さんの声質に近いからだ、と思って一人納得してるんだけど、同じ感想を持ってる人がほとんどいない不思議。最初は、スタッフロールの企画の所に、ミニパト監督の神山健治さんの名前があって、それが既視感の原因かとも思ったりしもした。

自衛隊の戦闘とヤシオリ作戦
ゴジラシリーズの戦闘って、現場の指揮でドンパチやってる印象があったので、指揮系統のリアルな描写はすごく新鮮だった。あれだけ伝言ゲームの描写を入れつつダレないってのは編集の妙なんだろうなと思ったのと、弾が外れて被弾した周りのビルが爆発する、倒壊したビルがなぜか爆発する、みたいなよくある描写が一切無くて、会議シーンだけでなくて、戦闘シーンも含めてドキュメンタリーを観ているような気分だった。
ヤシオリ作戦は一見すると地味。だけど、あれ以上派手にされたら胃がもたれそうなのと、ファンタジーに突き抜けてしまうだろうから、あれ以上の描写はないように思う。新幹線が登場した時は一瞬何が起こったのか分からなかったが、アレが爆発した瞬間に素直に感嘆した。で、"無人在来線爆弾"が登場した時には、「これは人類勝ったぞ!!」と謎の確信を持った。

最後に、今年の流行語大賞は"無人在来線爆弾"で決定して良いのではないだろうか?