六連星手芸部員が何か書くよ

基本的には、ツイッターに自分が上げたネタのまとめ、アニメや漫画の感想、考察、レビュー、再現料理など。 本音を言えばあみぐるまーです。制作したヒトガタあみぐるみについて、使用毛糸や何を考えて編んだか等を書いています。

王道ファンタジー『魔法使いの嫁』その魅力

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「羽鳥チセ15歳。身寄りもなく、生きる希望も術も持たぬ彼女を金で買ったのはヒト為らざる魔法使いだった……。」
公式サイト紹介文より。

たまには、じっくりと作品の紹介でも。最初は、最近推している『魔法使いの嫁』から。

世界観
現代のイングランド、絶滅寸前とも言われる魔法使いの世界。生きることへの希望を失ったチセが、オークションへ自らの身を委ねる事から物語が始まる。作者は『ハリーポッター』シリーズに影響を受けているとコメントしているが、個人的には『ゲド戦記』の雰囲気に近いように思う。魔法使いや魔術師が集まる学院(カレッジ)の存在は言及されているが、今はまだエリアスに師事し、魔法だけでなく世界の有様を学んでいる段階。描かれる世界の理や情景の緻密さによって、ファンタジーでありながら、この世界が確かに存在すると思える、それが大きな魅力であると思う。
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魔法
世界の理に直接アクセスし、手順を飛ばして結果を引き出す力とされる。代償として魔法力を必要とするが、これを隣人達(妖精)に借りる事で、これを行使する。借りなくても可能だが、負荷が大きい。
チセは周囲の魔法力を集める"夜の愛し仔"と呼ばれる特異体質であり、その無尽蔵の魔法力を実験、研究の為に利用しようと、魔法使いや魔術師によって狙われる立場にある。
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魔法使いと魔術師
劇中では、前者はパソコンのシステムへのアクセス権限持ち、後者はハッカーと比喩される。最高レベルの技術を持つハッカーは、実際にウィザードと呼称される事があるが、それを逆輸入した形での説明。なお、劇中では未だ言及されていないが、タイトルより魔法使いの英語表記は東方の三賢人の語源でもある、祭祀階級を指す言葉、Magiであるようだ。物語の中では、ところどころ、かんたんエリアスとでも呼称すべきデフォルメ絵により、こういったコミカルな説明が入る。
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キャラクター
2人の行く末にも注目だが、古き神や妖精(隣人達)、人目に止まらない魔法の生物等、世界観を彩る様々なキャラクターが登場する。
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ことば
最後に、個人的には、世界観と並ぶほどのこの作品の大きな魅力であると思う。隣人達を寄せ付ける体質の為、家族が離散したチセ。異形の存在として、ヒトの気持ちがわからないというエリアス。異なる理由で互いの心に踏み込む事が出来ない2人だが、周囲の後押しや迫り来る危機を前に、コミュニケーションが不得意であるが故のストレートな気持ちを、ゆっくりと言葉にしていく。
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魔法使いの嫁』お薦めです。