六連星手芸部員が何か書くよ

基本的には、ツイッターに自分が上げたネタのまとめ、アニメや漫画の感想、考察、レビュー、再現料理など。 本音を言えばあみぐるまーです。制作したヒトガタあみぐるみについて、使用毛糸や何を考えて編んだか等を書いています。

アニメーターは原画の価値を信じて欲しい

アニメーターの過酷な労働環境と低賃金が騒がれている現状、1カット辺りの単価が3000円程でしかない、という話も聞きます。カットの内容が会話シーンなのかアクションシーンなのか、それによって労力は変わるでしょうが、原画1枚辺りの単価に換算すると、100円にも満たないのかもしれません。しかし、その単価はあくまで社内規定や製作委員会が決めた予算との兼ね合いで決まったモノです。アニメーターが描いた絵に本質的にそれだけしか価値がない、というわけではないと思うのです。

私たちアニメを観る人間の何割かは、資料として、コレクターズアイテムとして、あるいは、そのアニメの本質に迫りたいと考えて、様々な理由で絵コンテや脚本集、原画集を欲します。そして、生の原画を観てみたい、そう思って原画展に足を運ぶわけです。そうして次に考える事なんて、当然これしかありません。

「あの原画が欲しい」

この欲求に行き着くのではないでしょうか?

さて、私は今年の初め、年末からどハマりしていたアニメの上映会のため、毎週映画館に通っていました。そう、『フリップフラッパーズ』です。この上映会、テレビシリーズの枠に留まらないハイクオリティな映像を、映画館の大画面と音響で堪能出来るだけで価値があったわけですが、なんと特典として生原画、生動画が配布されました。中には、監督の押山清高さんやキャラデザの小島崇史さんの描いた生原画も含まれており、なんとなんと、あの井上俊之さんの原画を貰ったという方もいました。

※参考「フリップフラッパーズ」特別上映│入場者特典(原画・動画)の報告ツイートまとめ

https://togetter.com/li/1079045

原画の中には、演出指示が書き込まれたモノから、レイヤーの下に埋もれていた部分まで描き込みがなされていたモノまで様々あり、それらのオリジナルを自分が独占しているという事実は、何とも言えない感慨を抱かせるのに十分でした。

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※自分が頂いた原画の1枚。確認された中で時系列の一番最後を飾った。

 

しかし、自分は同時にこう考えてもいました。

「こんなに安く貰ってしまって良いのか?」

実際、アニメーターが描いた絵は、上映会の特典として配布されていたわけです。

上映会のチケット価格が仮に倍であったとしても、自分は毎週観に行ったと思います。それくらい、あの特典は魅力的でした。複製原画でもポストカードでもなく、本物の原画だったからです。そして、こうも考えました。

「アニメーターが原画を販売しても良いのではないか、原画にはそれだけの価値があるハズだ」

繰り返しになりますが、一番上で取り上げた原画の単価は、あくまで制作上の都合で付けられた単価に過ぎないと思います。アニメーターがその単価に捉われることは、現場の技術者としての尊厳を貶めるものだと思いますし、それは大きな損失だと思います。あの『AKIRA』でさえ原画が処分されてしまい残っていないそうです。日本のアニメ史に残る傑作でさえそのような扱いを受けている実態では、アニメーターの地位向上などとても望めないと思います。原画は捨ててしまって良いモノではないし、100円かそこらで手離して良いモノでもないハズです。そうして、アニメ業界が原画の価値を貶めているウチは、この実態は改善されないと思います。