六連星手芸部員が何か書くよ

基本的には、ツイッターに自分が上げたネタのまとめ、アニメや漫画の感想、考察、レビュー、再現料理など。 本音を言えばあみぐるまーです。制作したヒトガタあみぐるみについて、使用毛糸や何を考えて編んだか等を書いています。

手芸部員が話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選

「話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選」参加サイト一覧: 新米小僧の見習日記

「新米小僧の見習日記」様による企画に参加します。昨年は琴線に触れたアニメを10作挙げる事が出来なかった為、2年振り2回目の参加となります。

①2017年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
②1作品につき上限1話。
③順位は付けない
※五十音順で記載。各話あらすじと見所を手短にレビュー。制約ではないが、あらすじ見所共に約140文字。

 

Infini-T Force』6話‬
ダミアンに連れ去られたエミを助ける為、彼の待つ異世界で機械兵と戦う健。しかし、ガッチャマンとしての能力を奪われた健は、苦戦を強いられ追い詰められていく。ついに囚われた彼の危機を察知し、駆け付けるヒーロー達だったが、それこそが、ダミアンが仕掛けた罠だった。

タツノコプロ55周年記念作品。監督: 鈴木清崇氏の他、40周年記念作である『鴉-KARAS-』からも中村健治氏やさとうけいいち氏らが参加している。異世界より集ったガッチャマン、ポリマー、テッカマンキャシャーンの夢の共演作にして、本6話は変身能力を奪われたヒーローが、ヒーローとは何かを自問自答し戦う激熱回。‬


少女終末旅行』9話‬
この世界にはもう、人間以外の生物はいない…、そう考えていたチトとユーリは、辿り着いた施設で一匹の魚と出会う。何としても魚を胃袋に収めようとするユーリだったが、施設の管理ロボットがこれを制止する。彼との交流を育む一方で、作業用ロボットが施設の解体を始めてしまい…。

‪撮影出身の尾崎隆晴氏が監督し、背景や音響等、全編に渡って細部まで拘り抜かれて映像化されている。通常EDアニメーションも原作者のつくみず氏によって一人で描かれ、非常に印象的。それを推したい気持ちもあるが、本話を含めて特殊EDも多い。本話はロボットとの交流を描く、短編映画のような一話。‬


正解するカド』6話‬
異方より日本へと出現したカドを巡り、この巨大な存在が空港の敷地を占拠し続けている事が懸案事項として挙げられていた。そこで政府のカド対策チームは、僻地へのカド移転計画を立案。カド内部へと取り残されていた旅客機乗客全員の解放を機に、超巨大立方体の大移動が始まった。

‪これ以降の物語の展開については賛否あるが、ここまでの物語に関しては2017年に放送されたアニメの中でも、トップクラスのエンタメであったと思う。とりわけこの6話は、“街中を立方体が転がって移動するだけ”という、面白要素のカケラも無い事象を、非常識な一大スペクタクルとして描き切った。‬


戦姫絶唱シンフォギアAXZ』1話‬
夏休みの宿題が終わらないと、未来に泣き付く響の元に、シンフォギアへの出動命令が下される。戦場の舞台は、かつてクリスが両親を失ったバルベルデ。軍事政権が率いるアルカ・ノイズを薙ぎ倒していくシンフォギアだったが、その裏では、錬金術師達が暗躍していた。

‪最初からクライマックスのブッ飛んだ展開に対し、もはや安心感すら覚えるシリーズ4作目。光学迷彩を纏う空中戦艦がAパートで爆散するが、それは些細な問題でしかない。今作は規格外の司令を除き、初めて男性声優が歌唱キャラに声を当て、合唱やユニゾン等、ここに来て歌に更なる広がりを見せてくれた。‬


亜人ちゃんは語りたい』11話‬
“自分は亜人達を特別扱いしているのではないか…?”教頭から指摘を受け、思い悩む高橋先生は、亜人ちゃん達と距離を置いてしまう。なんとか先生を元気付けたいと知恵を絞る亜人ちゃん達は、あるサプライズを企画する。そして、彼女達の行動が思いがけない方向へと波及していく。

‪話の展開そのものは、原作に忠実だが、実は、高橋先生がビデオレターを観る場所が、原作の河川敷から浜辺へと変更されている。BGMは一切無く、ただ静かに波風の音が響く中、亜人ちゃん達が思いの丈を打ち明ける様は中々に情緒的で、思わずもらい泣きしてしまいそうになる。‬


プリンセス・プリンシパル』TV版8話(case20)‬
お城での生活がすっかり嫌になってしまった小さな王女“シャーロット”は、偶然お城に迷い込んだ自分そっくりのスリの少女“アンジェ”と友達になる。ある日、シャーロットはアンジェと入れ替わり、お城の外へと足を踏み出す。そして、それが二人の運命の日となった…。

‪2話(case01)から示唆されていた、アンジェとシャーロットの関係に纏わる真相が明かされる回想編。なぜ、プリンセスは自身の危険を顧みずにスパイへと身を投じたのか。なぜ、アンジェはプリンセスに過保護に接するのか。8話を観終えた後は、是非、ハンカチを携えて2話を観返して欲しい。‬


宝石の国』10話
大切な仲間を喪い、月人達との戦いを続けるフォスの前に、目覚めの春が訪れる。皆がフォスの変貌ぶりに驚く中、その戦いに危うさを感じたボルツはフォスをパートナーに指名する。初陣で遭遇した新型の月人の前に撤退を余儀なくされる二人だが、次は、ダイヤが標的にされてしまい…。

‪回を追う毎に何かを喪い続けてきたフォスが決定的に変わってしまった本話。しかし、選出理由は別にあり、それは、おそらく通常の手描き作画では表現不可能な戦闘シーン。ダイヤと新型月人の対峙は、その長さに対し僅か数カットしかなく、その緊迫感と迫力は、空間の中に直接カメラを置く3DCGならでは。‬


魔法使いの嫁』3話
教会の命を受け、アイルランドの果てにあるドラゴンの国へとやって来たエアリスとチセ。彼らを出迎えたのは、エアリスの師である魔法使いリンデルと、ネヴィンという老いて盲いたドラゴンだった。チセの記憶に触れたネヴィンは、未だ心の傷が癒えぬ彼女と共に最後の夢を見るが…。

‪この物語の中核をなすと言っても過言ではない、チセとドラゴンの物語、その出会いを描くエピソード。人間とは異なる、生と死に関するドラゴンの価値観は、複雑な感慨を抱かせるモノであると思う。原作最新話に至るまで、チセとドラゴンとの縁は続くが…、幸福な結末を迎える事は出来るのだろうか?‬


メイドインアビス』13話
ナナチの治療によって何とか一命を取り留めたリコ。ナナチに多大な恩義を感じるレグに対し、ナナチはある頼みごとをする。葛藤するレグだったが、ついにはその願い事を聞き入れ、色とりどりのぬいぐるみが並べられた揺り籠に火葬砲を向ける。しかし、ナナチがそれを制止して…。

ここで終わるとリコの存在が希薄になるのでは?という不安を吹き飛ばした最終話。原作でも非常に辛いエピソードだが、アニメでのナナチの号泣がそれに拍車を掛けた。気球がこれまでの旅路を辿りながら地上へと届けられるエンディングは、実はアニメオリジナルであり、この設定は原作へと逆輸入された。


遊☆戯☆王VRAINS』20話‬
ロスト事件の全貌を知る為、SOLテクノロジー社のマザーコンピュータ中枢へと侵入したプレイメーカーは、真っ当な手段によって事件を解決する事を目指す財前と対峙する。互いに一歩も引かないデュエルを繰り広げる二人だが、ついにプレイメーカーが追い詰められる。

‪財前の操る古の戦術サイクル・リバースを軸としたデッキに対し、プレイメーカーのサクリファイスエスケープやカード自壊による墓地誘発効果発動による切返し等、非常に丁寧な決闘が描写された。また、財前兄妹の絆は、初代『遊☆戯☆王』の海馬兄弟を彷彿とさせ、その関係性と絡めたデュエルの結末は、感動すら覚えるエンタメだった。‬


以上、2017年の10選。毎年の事だが、観る事が出来ていない作品も多く、それによっては結果は変わるかもしれない。ただ、今年は全体的に、原作に対し、アニメならではの表現力で、非常に丁寧に向き合った作品が多かったように思う。また、『Infini-T Force』『正解するカド』『宝石の国』のフル3DCGアニメを3作選出。過去、劇場版作品においてはコレがメインに据えられる事はあったが、これまで、あくまで補助的に用いられてきた技術が、TVアニメ市場において第一線に躍り出た年であったと思う。