六連星手芸部員が何か書くよ

基本的には、ツイッターに自分が上げたネタのまとめ、アニメや漫画の感想、考察、レビュー、再現料理など。 本音を言えばあみぐるまーです。制作したヒトガタあみぐるみについて、使用毛糸や何を考えて編んだか等を書いています。

『GUNSLINGER GIRL』は日常モノでは無いという風潮にNOと言う

ガンアクションアニメ『リコイル・リコリス』(以下リコリコ)の流行と監督の言及により俄に再注目されている『GUNSLINGER GIRL』(以下ガンスリ)ですが、どうにも両作の違いについて日常モノか否かという観点で線引きされている方が多いように思われます(リコリコのスタッフもそうは言ってないのですが)。
ガンスリがテロリストの暗殺(カウンターテロ)やガンアクション、義体化・洗脳された少女達、それらを主体としたシリアスなストーリーを主軸としており日常描写は然程描かれていない、という刷り込みはアニメ版1期によってもたらされたイメージの影響が強いと思われます。全編を通してキャラデザ、美術、脚本、演出の全てがセピア色の空気で統一されたアニメーションの完成度は凄まじく、絵コンテ陣には『メイドインアビス』の小島さんや『SPY×FAMILY』の古橋さん、『この世界の片隅で』の片渕さんら、現在は監督として活躍している錚々たる面子が並んでいます。しかし、アニメ1期はエルザ編を深く掘り下げた一方で、“少女に与えられたのは、大きな銃と小さな幸せ。”というテーマの後者、日常描写はそこまで描かれていません。それが最も顕著に描かれたクラエスの日常を描いたエピソードも1期ではアニメ化されていないので、アニメしか観ていない(それも1期のみ)という方にとってはガンスリの日常描写と言われてもピンと来ないのは無理もありません。
しかし、前述の通りガンスリにとって”小さな幸せ“の占める比重はシリアスな主ストーリーと同等に非常に重いモノです。それが最もわかりやすく顕著なのが、大きな銃と小さな幸せの二つがクラエスを通して交差し、同じだけの強さで全面に出て来る最終15巻です。公社が施した洗脳よりも、誰かと交わした血の通った約束が優先される……、間違いなく本作のクライマックスです。
作り物の義体に洗脳された感情、美少女キャラが大きな銃を振り回すそのビジュアルですら劇中では整形と明言されています。ヘンリエッタやリコのその名前の由来ですら残酷で、他愛の無い会話の中ですら彼女達がもう既に壊れていることが示唆される本作において、では、彼女達にとって何が本物なのか?本作における小さな幸せとは?是非、原作を読んで下さい。

GUNSLINGER GIRL (全15巻) Kindle版

一挙配信 2022年8月29日(月) 23:59まで