『シン・ゴジラ』は、自衛隊、霞ヶ関や日本国内外の官民の研究所に勤める技術者、警察、消防、鉄道会社、ぶっ壊れるの承知でポンプ車やタンクローリー出してくれた会社、そして、おにぎりとお茶を配ってくれたおばちゃんに至るまで、応援するだけじゃなくてそのヒーローの誰かになれたかもしれない作品。
そういう意味でとても現実的で身近なテーマ。個人的にSFとしては一番好み。
『シン・ウルトラマン』は、自己犠牲を備えたヒーローはウルトラマン唯一人。自衛隊と禍特対は禍威獣と戦い続けているし、スペシウムの科学を解き明かしたのは人間の叡智の集合だけど、それでも最後はヒーローに託すしかない。最後はヒーローを応援する他無い作品。だけど、ヒーローはその応援を背に戦っていて決して孤独では無い。
そういう意味でとてもわかりやすくヒーローを扱ったテーマで泣ける作品。
『シン・仮面ライダー』は、ヒーローの活躍も怪人の暗躍も大衆の目に留まらない非常に閉じた作品。ヒーローは常に孤独だし誰かに応援されるわけでもなく個人的な動機で戦う。感情移入出来ないとかよくわからないとか言われるのはそれはそうで、観賞者は『シン・ゴジラ』のようにヒーローの誰かにはなれないし、『シン・ウルトラマン』のようにヒーローを応援する立場にもなれない。あくまで観測者にしかなれない。
仮面ライダーに感情移入出来るか否かが全てだと思う。ヒーローは孤独であり尾を引く作品。