六連星手芸部員が何か書くよ

基本的には、ツイッターに自分が上げたネタのまとめ、アニメや漫画の感想、考察、レビュー、再現料理など。 本音を言えばあみぐるまーです。制作したヒトガタあみぐるみについて、使用毛糸や何を考えて編んだか等を書いています。

確かこんな話だったと思う『犬王-INU OH-』解釈

時は現代、渋谷(多分)の交差点で琵琶を掻き鳴らし、喪われた『平家物語』を語る一人の琵琶法師がいたーーー。

 

 

ーーー時は遡り室町時代。漁師の息子“友魚(ともな)”の家に源平の戦の際に失われた三種の神器を引き揚げる依頼が朝廷より舞い込む。友魚の父(ゴローさん)は神器が眠る場所に全く見当がつかず当初これを渋るが、友魚から水底でそれらしい物を見付けたという報告を受けて依頼を引き受ける。予想は当たり二人は神器の引き揚げに成功するが、天叢雲剣はゴローさんを呪いで真っ二つに斬り裂き殺し、また友魚の両目を斬り盲目としてしまう。依頼に来た役人達は呪いに恐れ慄き逃げ出してしまい、夫を殺され怒り狂った母は友魚に対し彼らに復讐を果たすよう強いる。また、幽霊となったゴローさんも同じく復讐を願い友魚に付き纏うのだった。

旅に出た友魚はやがて琵琶法師の一行と出会い、その中の一人(兄者)に弟子入りして彼と共に琵琶を弾き語りながら旅をする。数年の後に都に辿り着いた友魚は正式に琵琶法師をまとめる芸能プロダクション”覚一座“に迎え入れられ、新たに“友一”という芸名を授かる。

同じ頃、都ではその異形の姿を人々に見せびらかして脅かす奇妙な少年がいた。彼は生まれながらに獣の様な姿をしており、実父である芸能プロダクション”比叡座“社長、津田健之助(仮称)に忌み嫌われていた。まともな顔も手足も持たない彼だったが、父に隠れて猿楽の腕を磨くうちに唐突に両足を取り戻す。

そうしてある晩、友一に偶然出逢った彼は、友一の掻き鳴らす琵琶の音に合わせて踊り意気投合する。名前が無いと不便だと友一に請われた彼は、自ら付けた名である“犬王”を名乗り交流を深めていく。やがて犬王はゴローさんの仲介によって自らに付き纏う者達の正体が亡き平家の霊達であると知る。しかし、平家の者達は犬王を呪った者とは別霊であり、犬王と友一に失われた平家物語を語り継いで欲しいと依頼する。

依頼を受けた友一は新たに音楽レーベル(後のTOMOARI-ZA/友有座)を立ち上げると、自らビジュアル系ロックバンドを結成しボーカルとビワリストを務めると、過激な路上ライブを敢行しては都の人々を魅了していく。また同時にソロアーティスト-INU OH-をプロデュースし、国宝級灯籠職人や舞台創造科の皆様、そして、ゴーストライター集団“HEIKE NO BOUREI”の作詞も手伝い都のヒットチャートを席捲させていく。そして-INU OH-は新曲を引っ提げたライブを成功させる度に失われた身体を取り戻していくのだった。

友一が元いた芸能プロダクションのアーティスト達の中には、彼のことを快く思わない者も多かったが、事務所の副社長は彼の音楽を高く評価し、なんと時の将軍と謁見した際に推し語りをする程であった。しかし、将軍源義満は自身がジャニーズジュニアに熱を上げるショタコンであることを棚上げし、更には妻が友有や犬王のバンドの追っ掛けになっていることに嫉妬するという器の小さい面を見せ幕府の権威の為には異端の『平家物語』は必要無いと(いう建前で)彼らに解散ライブを宣告する。

そして迎えた解散ライブ当日、彼らのパフォーマンスは大変盛況であったが何故か犬王は自身の顔を取り戻すことが出来ないでいた。そこで友有は犬王の記憶に潜りその中で彼が異形に生まれた真実を目の当たりにする。実は犬王の異形は生前彼の父である津田健之助が芸の道に挫折したことから地獄堂の鬼神と約定を結んだことの代償であり、本来は死産となるハズが平家の亡霊らに命だけは助けられた結果としてのものであった(ちなみに『どろろ』の主題歌担当は「女王蜂」です)。そんな境遇にもめげずに芸を極めていく犬王に対して嫉妬に狂った津田健之助は、再度鬼神に彼を殺すよう懇願するが、逆に見限られて爆☆殺されてしまう。そうして失われた自身の物語を取り戻した犬王は、晴れてその醜い面を覆っていたお面を外すのだった。

盛況のうちに終わったライブであったが、将軍義満は先の宣言通り、TOMOARI-ZAのCDや音楽配信を独裁者権限で発禁にしていくばかりか、路上ライブを行うアーティスト達を次々に処刑していくという昨今の表現の自由論争も真っ青な過激な検閲を強いていく。時を同じくして将軍は犬王に対しても「お前が自前の曲を歌うことを封印するなら友有の命は助けてやろう」と強請りをかけていた。それを受けた犬王は怒りで顔を歪ませるが、親友を助ける為に再度微笑みの能面を被り将軍に従い、二度と彼自身の歌を歌うことを辞めたのだった。しかし、この犬王の行動を知らなかった彼の親友は他ならぬ犬王の為に将軍に抵抗し、最期まで琵琶を掻き鳴らしながら音楽の中に散っていったーーー。

 

 

ーーーそうして現在に至るまで、『平家物語』の真実と犬王の芸は、ある琵琶法師を除いて誰にも語り継がれることはなく歴史の影に隠されてきたのだった。そう、彼らが再び出逢うまでは。

 

映画『犬王』オリジナル・サウンドトラック