twitter上に投稿したレビューを加筆修正したモノ。
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『神霊狩/GHOST HOUND』
九州で酒蔵を営む家で暮らす少年"太郎"は、幼少期に姉と共に誘拐され、姉が亡くなったことでPTSDに罹患していた。彼は睡眠時の体外離脱"魂抜け"を体験するようになり、やがて、同様に魂抜けを体験した友人らと共に、過去の事件の真相に向き合っていく。
原案:士郎正宗、制作:Production I.G、監督:中村隆太郎。スタジオ20周年記念作品。心理学、脳科学、哲学、そして、バイオテクノロジー等のSFと、構成する要素は多岐に渡る。しかしその本質は、親世代から確執を継がなかった少年達の成長の物語だろうと思う。
『青の6号』
人工増大により人類が生活圏を海洋に求めた未来。海洋の安全を保護する超国家組織"青"に所属していた"速水鉄"は、組織を辞め、沈んだ都市のサルベージを営んでいた。だが、海洋学者"ゾーンダイク"のテロに伴い、"青の6号"に復帰する。
原作:小沢さとる、制作:GONZO、監督:前田真宏。世界初のフルデジタル制作OVAとして制作された。原作は1967年発表とかなり古いが、村田蓮爾によりキャラクターが刷新され、また、設定やシナリオも一部オリジナルのモノとなり、作風は全く古さを感じさせない。
『ぼくらのよあけ』
高性能AIを搭載したアンドロイドが一般家庭にも普及した近未来。宇宙に憧れる小学生"ゆうま"は、アンドロイド"ななこ"に反発する日々を送っていた。ある日、彼女に宇宙から来たAIがインストールされ、自身が宇宙へと帰る為の手助けを依頼する。
漫画:今井哲也。アフタヌーン連載、全2巻。宇宙開発やAIの普及等の近未来の描写とは対称的に、少年達の冒険が話の主題となり、ノスタルジックな雰囲気を持った作品。学校での人間関係の確執や親子関係等、例え技術が進歩しても、現代と変わらないであろう葛藤も描かれた。
『R.O.D-READ OR DIE-』
学校講師を務める"読子"は、神保町でビブリオマニアとして生活する傍ら、大英図書館特工作部所属のエージェントとしても活動していた。彼女は稀覯本の強奪事件を契機に、クローニングにより蘇った過去の偉人達と対峙する。
原作、脚本:倉田英之、監督:舛成孝二。氏の同名小説をOVAとしてアニメ化した作品。後に本作の続編がTVシリーズとして放送された。日本アニメ史上、オーディオコメンタリーを採用した最初期のアニメ作品でもある。主演を務めた歌手・女優の三浦理恵子さんの声が、舌ったらずで非常に役にハマっている。
『C』
幼少期の経験から、安定志向が強く公務員を志す青年"公麿"は、バイトを掛け持ちしながら苦学生としての生活を送っていた。しかし、日本経済の裏社会"金融街"からの送金に手を出した事を切っ掛けに、自身の未来を賭けたマネーゲームに巻き込まれる。
制作:タツノコプロ、監督:中村健治。監督にとって顔馴染みとなったノイタミナで発表された作品。一見すると、能力バトルモノに見える描写であり、この点が批判される事がある。しかし、劇中に登場する経済用語を理解した上で観ると、ゲームの勝敗にまた違った側面が見えてくる。
『サカサマのパテマ』
かつて、重力をエネルギー転換しようとする実験が失敗し、多くの人々や文明が空に落ちて行った世界。空を見上げる事すら禁忌とされる世界で、少年"エイジ"は地下から落ちて来た少女"パテマ"と出会い、世界に隠された真実を知る。
制作:スタジオ六花、監督:吉浦康裕。第17回メディア芸術祭優秀賞受賞作。王道のボーイ・ミーツ・ガール作品。『ペイル・コクーン』や『イヴの時間』等、監督作品はこれまで限られた空間でのやりとりを主としていたが、今作では行動に制限が掛かる中、外へと飛び出して行った。
『スカイ・クロラ』
現実とよく似ているがどこか違う世界。そこでは、人々が平和を平和として実感出来るよう、ショーとしての戦争が行われていた。パイロットは皆"キルドレ"と呼ばれる子供達。その一人"優一"は、唯一、本物の大人として戦場に現れる"ティーチャ"に挑むが…。
原作:森博嗣、制作:Production I.G、監督:押井守。原作最終巻、及び1巻を元に映像化。青い大空を戦闘機が駆けドッグファイトを繰り広げる、それだけで満足と言っても過言ではない作品。テーマとしては、若者が、大人に負けてもへこたれずに何度も挑む先品、と自分は受け取った。
『楽園追放』
ナノマシンの暴走により地上文明が崩壊し、人類の大半は自らをデータ化し電脳世界"ディーヴァ"で暮らしていた。地上からのハッキングを繰り返す正体不明のクラッカー"フロンティア・セッター"の調査の為、保安局はエージェント"アンジェラ"を派遣。彼女は、地上に暮らす協力者"ディンゴ"と共に、その正体を突き止めるが…?
制作:東映アニメーション、監督:水島精二。全編に渡りフルCGで制作されたオリジナル劇場アニメ。アニメーションはグラフィニカによって制作され、良い意味でCGっぽさを感じさせない作り込みが為されている。公開前は脚本担当が虚淵玄であった為、例によって白か黒かと話題になったが、本作は夢と浪漫のあるSF作品。
『AKIRA』
荒廃した大都市を舞台に、日々、改造バイクを乗り回し、暴走族と抗争を続ける"金田"と仲間達。その最中、仲間の一人である"鉄男"は、子供のような老人を跳ねてしまう。それをきっかけとして超能力に目覚める。これまでとは打って変わり、高圧的な態度で周囲を圧倒していく鉄男だったが、やがて、その力が暴走する。
原作・監督:大友克洋、制作:東京ムービー新社(現在はトムス・エンタテインメントと合併)。同名コミックを原作者自らが指揮を執りアニメ化。信じられない事に全編に渡り手描きのセルアニメ。バイクのテールランプも崩壊する建造物も全て手描き。日本アニメ史上のオーパーツと言っても過言ではない。
『新世紀エヴァンゲリオン』
幼少期に自らを捨てた父"ゲンドウ"に、第三新東京市へと呼び出された"シンジ"は、そこで、巨大な怪物と巨人の戦いを目撃する。父の遣いとして現れた"ミサト"に連れられ、彼が逃げ延びたジオフロント。そこで彼は、地上で目撃した巨人、"汎用人型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン"への搭乗を強要される。
原作:ガイナックス、漫画:貞本義行。アニメ放送に先駆けて連載がスタートした漫画版。キャラデザのお貞氏本人が担当した事もあり、全編通して作画が非常に美麗。基本的なあらすじはアニメと同じだが、オリジナル展開により人間関係が掘り下げられ、また結末は大きく異なる。幾度もの長期休載を挟みながら、無事、完結した。
以上、10作品。