六連星手芸部員が何か書くよ

基本的には、ツイッターに自分が上げたネタのまとめ、アニメや漫画の感想、考察、レビュー、再現料理など。 本音を言えばあみぐるまーです。制作したヒトガタあみぐるみについて、使用毛糸や何を考えて編んだか等を書いています。

『ゴースト・イン・ザ・シェル』ネタバレ解説と考察、元ネタ集

あらすじ(映画の要約)

海外から難民として逃れてきた"ミラ(仮称)"は、テロリストの襲撃により肉体を失い、脳と僅かな脊髄を義体へと移植したサイボーグとして生まれ変わる。生身の肉体を遥かに上回る運動能力、電子戦の素質を与えられた彼女は、捜査官として訓練された後に、政府直轄の対テロ部隊公安9課、通称"攻殻機動隊"へと配属され、少佐と呼ばれる存在となる。
少佐は、自身の義体を制作、メンテナンスを行っている"ハンカ・ロボティックス社"の技術者を狙った連続テロ事件に遭遇。"クゼ"を名乗る人物が現場に犯行声明を残していた事から、9課は彼を追跡し、ついに少佐が彼と対峙する。
しかし、クゼが犯行動機を少佐に明かした事で状況が一変。実は、ハンカ・ロボティックス社の義体化技術とは、過去に多数の非合法な人体実験を繰り返して完成したモノであり、クゼもその被害者の一人であった。少佐も例外ではなく、テロリストの襲撃により身体を失ったというのは、電脳に書き込まれた偽りの記憶であった。実際には、家出等により社会から距離を置いていた多数の若者が誘拐され、人体実験に利用されており、少佐もその一人であると同時に、唯一の成功例であった。事件の真の黒幕がクゼではなく、ハンカ・ロボティックス社であると知った9課は反旗を翻し、これを排除すべく行動を起こす。そして、捜査の終結の後に、真実を知った少佐は過去の記憶を取り戻して母親と再会、しかし、完成された義体の持ち主として9課の捜査員として生きていく事を決意し、物語は幕を閉じる。


内容解説(過去作との比較)

行間は端折ってますが、ざっとこんな感じのシナリオでした。巷では、ロボコップとかブレードランナーとか言われてますが、そうではないような気がします。
では、どういう映画だったのかと言えば、『GHOST IN THE SHELL』(以下『GITS』)の雰囲気やエピソード、少佐の性格がビジュアル面のベース、『イノセンス』(正確には原作6話)のゴーストダビングの為の誘拐事件、及び、『攻殻機動隊SAC 2nd GIG』の少佐とクゼとの関係性がシナリオ面でのベースとなっており、そこに、ハリウッド的な家族のお話を付け加えて出来上がったモノが、今回の実写版『攻殻機動隊』だったのではないかなと思います。
シナリオ面では実にシンプルな物語であり、これと言って補足する事は無いです。予告では、少佐について、「世界最強の捜査官」「世界を救え」とか言ってますが、いつものアレです。そんな話ではないです。誘拐されて義体化、記憶を消された一人の女性が家族と再会し、でも、義体も私の個性だから、これからも捜査官として頑張るわ!!って言って終わる、少佐という一個人のとても狭い世界を扱った映画です。


元ネタ集(思い出せる範囲で紹介)

・映画冒頭の脳移植
→『GITS』オープニングより、元ネタではメンテナンスシーン

・芸者ロボを利用したテロ
→『GITS』冒頭の突入、『SAC』1話のテロ、及び、芸者ロボのビジュアルは『イノセンス』に登場するガイノイド"ハダリ"の要素も加えられている。なお、ロボットなので流す体液は白色。

・ハンカ・ロボティックス社の研究員
→シリーズお馴染みの赤服、ただし、今回は9課のスタッフではない。

・課長室
→ビジュアルは『イノセンス』のそれ。今作のオペ子なのか、課長のお世話(?)をする女性が2人いる。別に際どい格好をしてるわけではないが、殿田大佐っぽい。

・哀れなゴミ収集作業員
→原作および『GITS』に登場、原作では外務省に電脳ハックを仕掛けていたが、今回は電脳をハックされ記憶を改竄されるだけでなく、テロリストに仕立て上げられ少佐にボコられてしまった。しかも、その末路が最も悲惨。

・ダーリン博士
→ビジュアル面や芸者ロボを検査する役所としては、『イノセンス』に登場するミス・ハラウェイ。指を分割させてキーを打つ描写は、オペ子も同じ事を行なっているが、『GITS』のウィリス博士の方が印象に残っているかもしれない。

・手榴弾とトグサ
原作および『イノセンス』より。今作ではトグサの家族構成について言及がないためか、至近距離で手榴弾が爆発しても、娘の事で頭がいっぱいになったりはしない。

・ガブリエル
イノセンス』および『スカイクロラ』に登場したバセットハウンド、というより、押井守。今回も監督がカメオ出演し、やはりバトーさんに懐いている。バトーさん、同じ店でお肉の骨をもらってたら、生活パターン把握されて、そのうち襲撃されるんじゃないか?と、不安になったのは自分だけではないハズ。

・荒事にはしたくない
可能な限り避けたが、やはり銃撃戦になった。『イノセンス』でのヤクザ事務所襲撃が元ネタかは微妙なところ。

・海に潜るサイボーグ
『GITS』より。ただし、今作での少佐はスウェットスーツのみを着用して潜っており、フローターが停止すれば海の底に沈むと言及されたアニメ版と、設定に相違がある。では、誤りなのかと言われると実はそうでもなく、原作2巻では素子の同位体義体で水中を泳ぐシーンがある。

・多脚戦車
原作および『GITS』に登場。前者では公安1課、後者では6課が使用。今作ではハンカ・ロボティックス社が使用したが、過去作とは異なりリモートコントロールだった。

・メスゴリラ
シリーズ伝統のハッチこじ開け。今作では『GITS』同様に多脚戦車相手に行われた。再現度はなかなかのモノだが、損傷具合は『GITS』に劣る。なお、残念な事に、装備課が開発したランチャーは未登場。(原作ではボーマ、『GITS』ではバトーさんが使用)

・多脚戦車のマニピュレータ
『GITS』では少佐の頭を締め上げたが、今作ではクゼがターゲットに。

・ヘリからの狙撃
『GITS』では人形使いが破壊され、少佐の首が飛んだ。『SAC』では少佐のリモート義体が破壊されている。今作では最初に狙撃されたのはクゼ。

攻殻ダイブ
今回は『GITS』冒頭が元ネタ。