六連星手芸部員が何か書くよ

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『天気の子』-凪くんが支持される理由を新海誠監督の少年観と共に考察する-

ker-六連星手芸部- on Twitter: "細田守監督と新海誠監督は、家族観や女性観よりもショタという存在に対する認識が決定的に違うと感じられたので、誰か御二方の対談をセッティングして欲しい。多分、取っ組み合いの喧嘩になる。"


えー、最初は『天気の子』の感想、考察記事の小ネタの一つとして凪くんのコーナーを設けようと考えていたのですが、上記のツイートをしたところ何故か(?)割と伸びてしまいまして、これに関して考察していくうちに別記事にしないとバランスが取れないという結論に達しました。

まあ、自分で言っておいて比較対象とする意味はあまり無いですし、私はショタについては専門外なのであまり詳しくはないのですが、今作で新海誠監督によって描かれたショタこと凪くん、ひいてはそれを通した監督の少年観について色々と考察してみようと思います。


①凪くんって何歳なの?

パンフレット買えてませんごめんなさい。というわけで劇中の描写から推測します(※1追記 フォロワーさんから情報頂きまして、パンフにも年齢設定の記載が無いそうです)。

凪くんが所属するサッカークラブ(経済状況の事があるので助っ人かもしれません)は劇中の描写を見る限りではおそらく男女混合です。詳しい内訳はスポーツ全般に詳しくないので推測ですが、高学年になる頃には身体能力に男女でどうしても差が開いてしまう関係上、混合チームになるのはおそらく低〜中学年、どれだけ高くても9〜10歳くらいの年齢だろうと思われます。


②「一緒にお風呂入ろう」からわかる事

確か実際のセリフでは「3人で(お風呂に)入ろうよ」と言っていたかと思いますが、このセリフはシンプルながら色々な意味合いが含まれていて、実は結構深いんじゃないかと思うのです。下記に列挙します。


⑴普段からお姉ちゃんと一緒にお風呂に入っている

⑵帆高と陽菜と3人で一緒にお風呂に入ろうとしている

⑶後々にアヤネちゃんから衣服を借りる時のやり取りの伏線


とまあ、ざっくりこんな感じかなと思います。

まず⑴に関しては、①の考察の通りの年齢ならままある事だと思いますが、同時に、前半で陽菜がカイワレ大根やネギを自家栽培していた事を補強する意味もあるかと思います。つまり、節水する必要があるために姉弟で一緒に湯船に入っている可能性が高いです。そして、お母さんも早くに亡くなっているため、それより幼い頃から陽菜が凪くんの身の回りのお世話を引き受けていた可能性が高いです。※2

次に⑵に関してですが、帆高から恋愛の師匠と呼ばれる凪くんが2人の関係を進展させるためにアシストしたのでしょうか?しかし、そうするとリアクションが妙です。凪くんの提案に対して「2人で入って!!」と(確か)※3追記 コメント頂きまして「1人で入れ!!」が正しいようです(まあでも、その他考察より姉弟で一緒に入ってはいるんじゃないかな?)。帆高と陽菜をからかうでもなく、「じゃあ帆高、一緒に入ろうぜ」とあっさりと引き下がっています。(姉ちゃんとはいつも一緒に入ってるし、兄ちゃんと入ってみるのも楽しいかな)くらいの反応に見えます。これ、話はもっと単純で、凪くんは帆高と陽菜が一緒にお風呂に入っても問題無いと思っているのではないでしょうか?これは⑶とも繋がる内容ですが、お風呂から話が脱線するため次項に記します。


※2 いつも一緒に入ってるなら陽菜の異変に気付くんじゃないか?と、これを書きながら思いました。実際は一緒に入っていなかったか、異変が急激に悪化したかのどちらかだと考えられますが、体調の悪さに言及があったのは依頼の最後の方なので、後者有力で騙し騙し隠してきたのではないでしょうか?本稿ではその前提で記します。


③性別の未分化

リアクションについては姉弟と同年代の友人(?)とでは全く違うと思いますが、凪くんがお姉ちゃんとお風呂に入る事を気にしないくらいには子どもっぽいのに対して、⑶について、同年代(厳密には元カノ)の女の子は着替えの時に「あっち向いてて」とがっつり断りを入れてきましたよね?もっと踏み込んで言うと、凪くんが最初に自主的に振り向かなかったためにこの発言に至っています。デリカシーが無いとか元カノだから見慣れてる(!?)とかそういう話ではなく、おそらく、性的に未分化な段階にいるのではないかなと思われます。凪くんは女の子を女の子として、勿論好いてるんだと思うんですよ。プレイボーイでキザったい事言ってた割にはお姉ちゃん想いで物腰柔らかいですし、元カノといっても決してぞんざいには扱ってないです。名前に反して修羅場ですが。ただ、夏美さんを意識しまくる帆高とは明らかに違いますよね?この思春期の少年性と差別化された、性的に未発達で未分化な少年性が凪くんを構成する特徴の一つかなと思います。


新海誠監督と細田守監督の少年観について

さて、最近の新海誠監督の描く少年の傷って、やんちゃしてほっぺや鼻に絆創膏貼ってるのをお姉さん(実際に歳上かは問わない)に優しくされたりからかわれたりしたいという少年心のメタファになっているように個人的には思います。対して、細田守監督の描く少年の傷は、見えない服の下(もっと言うと心の奥底)の生傷やアザが薄暗い浴室で膝を抱えながら湯船に浸かっている時に、白い細腕や背中に露わになるような雰囲気を纏って描かれていると思うんですよ。


…いやまあ、ホントかよって感じですが。佳主馬も雨も九太も、なんかこういうイメージありません?


ありきたりな言葉で表現するなら、前者は文字通りの子供っぽさを含むのに対し、後者は少年の影を描いているように思います。だから、両者の描く少年性が互いを超えるとか超えないとか無いと思うんですよ。みんなちがって、みんないい。


その中に投じられたのが、今作において新海誠監督が描いた凪くんであり、性的に未分化な少年性や年相応の無邪気さ、ちょっとマセてるけどマセ切れてない子どもっぽさ(女の子の方が発達してる)、母親を亡くしているのにも関わらずお姉ちゃんを想う健気さと、色々と属性てんこ盛りですが、あれくらいの年齢の少年を等身大でかつアニメ的に脚色して魅力的に描いていると思います。こういった要因によって支持を集めているのではないでしょうか?そして、女装のインパクトに隠れそうになってますが「姉ちゃんを取り戻せよ!!」と帆高に最後に感情を露わにした場面、あれが決定打だと思います。母親を亡くしても気丈に振る舞っていた彼が、今度は姉を亡くしそうになった事で隠していた影の部分が露わになったのではないでしょうか?

 

 

『天気の子』本編の感想記事が見当たらない?

何故かこちらが先に書き上がったので、そのうち書けたらアップします。

※4 追記 アップしました。

『天気の子』感想と考察-物語の構成に『君の名は。』を添えて- - 六連星手芸部員が何か書くよ