プリンセス・プリンシパル_FA
ーーーあの日の、夢を見た。 自分の手の中で乾いた音が響き、硝煙と錆のにおいが立ち込めていた。ひたひたと足元に生暖かい水が這い寄り、堪え切れない吐き気が私を襲った。 私は生き延びる為に、盗みもした、人を騙しもした。そして、それらとは比べ物にな…
お城には犬がいた。アイビーと名付けられた干し草のにおいがするその犬は、シャーロットとはぐれて兵士達に運ばれてきた私の側に寄り添った。しかし、何かに気付きハッとして、また崩れた井戸の方へと駆けて行った。心細さでどうにかなりそうな私の元に、王…
シャーロットと逸れ、殺気立った大人達の喧噪の中で、私は息を殺し、部屋の隅で縮こまっている事しかできなかった。シャーロットは無事だろうか、私はこのままどうなってしまうのか、様々な感情で頭の中がぐちゃぐちゃになっていた。その時、扉が激しく開か…