名探偵コナン_FA
(ーーーホント、待たせるの好きよね) そんなことを考えながら江戸川君の背中を見送ると、私はふと自分に向けられた視線に気が付いた。 「え、っと……、なに?」 一体いつからこうやって見られていたのだろうと思いながら、私は、視線の持ち主の直美に向き合っ…
私は、イチョウ並木を彼と並んで歩いていた。この光景は以前にも、そう、吉田さんとうさぎの様子を見に学校に行ったあの時のものだった。博士が初恋の相手を見送った後、彼がイチョウの花言葉を口にする姿がリフレインした。女心なんてちっともわからないく…
帝丹高校の期末試験を来週に控え、私たちは学校帰りに制服のままポアロで試験勉強に励んでいた。もっとも、実際に試験勉強をしているのは私の目の前で課題と睨めっこをしている十年来の親友だけで、私は喫茶店の雰囲気にそぐわない医学書を読みながら彼女の…
「灰原さん、江戸川君に今日のプリントを届けてもらって良いかしら?」 頬杖をついて主人の居ない空席を眺めていた私の元に担任の小林先生から声が掛かった。当の机の主は今日、風邪をこじらせて寝込んでいた。小さくなっても相も変わらずいつも事件に首を突…