六連星手芸部員が何か書くよ

基本的には、ツイッターに自分が上げたネタのまとめ、アニメや漫画の感想、考察、レビュー、再現料理など。 本音を言えばあみぐるまーです。制作したヒトガタあみぐるみについて、使用毛糸や何を考えて編んだか等を書いています。

そもそも『フリクリ』ってなんだ!?『フリクリ オルタナ』感想

『ナニクリ』

2000年にガイナックスによって発表された6話構成のOVA作品であり、wiki等観て頂ければ分かると思いますが、錚々たる制作陣によって描かれたアニメーションです(原作権移譲の件等々はここでは触れません)。そして、『フリクリ オルタナ』に関しても、劇場で先行上映されているだけであって、旧作と同様に6話構成のOVAとなっています。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%83%AA


『ハナカラ』

そもそも『フリクリ』を構成する要素とは何でしょう?私見でザックリ羅列すると…。


・「the pillows」のアニメーションミュージックPV

・アニメの枠に収まらない破天荒な実験的表現

・ギャグや下ネタによって説明された、あるいは覆い隠されたアクの強いSF

・ハイクオリティなアクション作画

・少年のオデコから出現するロボ

・ナオ太とマミ美の退廃的おねショタ

・あるいは、ナオ太とハル子の形容し難いボーイミーツお姉さん


とまあ、個人的にはこんな感じなのではないかなと思います。この中で『フリクリ オルタナ』に最も欠けていたもの。それは「思春期の少年」ではないでしょうか?この要素が欠ける事によって、旧作の要素(と、私が思っている事)の半分が失われてしまいます。「一体いつになったら、カナブンのおデコからテレビ君が出現して戦うんだ?」とヤキモキした方も多いでしょう。これは旧作のノリを期待してしまうとなかなかに厳しい変更要素です。


『スクリプ』

前述の通り、本作は6話構成のOVAです。旧作と違ってその都度エンディングは流れませんが、各話毎にアイキャッチとサブタイが挟まれます。構成としては、1話から「導入」「ヒジリー編」「モッさん編」「カナブン編」「ペッツ編」「終幕」という感じです。これを一気観するわけで、かなり体力を持って行かれますね。…で、持って行かれるんですが、個人的な心象としては各話毎の起承転結というか、喜怒哀楽のテンションの幅が小さく、全体的に単調な印象を受けました。旧作のようにナオ太のロボットが敵を倒してマミ美を助けるといった展開なら、バトルと主人公の感情がシンクロして画的にもっとわかりやすくなったと思うのですが、本作では基本的にバトルはハル子の役目です。彼女の考え方にカナブンが徐々に影響されていくのですが、この「モヤっとしてる」感じが終盤まで続くので、ハル子のバトルが派手でもイマイチノリ切れない印象を受けるのではないかなと思います。


『オシジェケ』

推しというか、一番安心して観ていられたのはヒジリーですね。最初に個別回があった事でその後のキャラが安定していた事もあり、最も観客の目線に近いキャラでもあったと思います。「モッさん編」で空回るカナブンに対し「あー…、なんか良い挿入歌が流れてるけど、これそろそろ爆弾が爆発するなー…」って思いながら観たりして。あと、素に戻った3話以降は、意外と純情な面をところどころで見せていたり。また、旧作では未成年であるマミ美の喫煙シーンがありますが、諸々の表現規制の例に漏れず、本作ではそういう場面はありません。が、私の見間違いでなければ、1話のハム館でたむろしてるシーンで、ペッツが火の付いてない煙草(ポッキーではなかったと思う)を口にしているシーンがあったと思います。この時点で「あ、この娘大人しそうだけど何かあるな?」と気付く人は気付くのではないかなと。


『ユリクリ』

さて、やっぱり何かあった「ペッツ編」なわけですが、幼馴染みの友情から別れを描く中で、ラストが髪留めの交換に留まってしまった事は物足りない印象を受けました。ヒジリーはペンを、モッさんはハンカチをそれぞれペッツと交換していて(ペッツとしては別れの準備だったのでしょう)、特別感が薄れてしまっているんですよね。交換するならカナブンだけにすべきだったと思いますし、あるいは、もっと「ユリクリ」に突き抜けてしまったとしても、『フリクリ』であれば許されたのではないかなと。この作品なら、例えば愛憎を吐露した上でディープキスくらいしても許されそうじゃないですか?この描写に限った話ではないのですが、本作は旧作の表現や雰囲気を踏襲してはいますが、あたまおかしい(褒め言葉)レベルで壊れていた旧作と異なり、なんとなく制作陣が上品さというか、小っ恥ずかしさを捨て切れてない気がしました。話が逸れますが、ぶっちゃけると、旧作の下ネタ要素の大半は、主人公が少年であったから成立していたと思っています。同様の設定をセブンティーンの女子高生に適応しても、同じような感覚を得る事は難しいですし、ソッチに振り切っても下品な感じになりそうです。だからこそ「ユリクリ」に落とし込めれば…と、期待したわけですが。


『スコフシ』

旧作のSF描写に関しては、オペレーターのお姉ちゃんが興奮のあまり鼻血噴きながら色々と解説してくれたりもしましたが、本作ではハル子と神田の会話の中で断片的に語られるに留まっています(どうでもいいけど、入国管理局のオッちゃんの眉毛が海苔じゃないのが物足りなく感じてしまう)。カナブンのおデコの設定やアイロンは、基本的に前作の設定を踏襲しているとは思いますが、自分の見落としていなければ、詳細な時系列や前作との繋がりは不明です。アマラオも出てこないですし、本作では当初アイロンが出現していない為、旧作の前日譚なのか別の宇宙の話なのかは判然としません。本作ラストでハル子が時空の歪みに引き摺り込まれて分裂したかのような描写がありましたが、そういった謎は『フリクリ プログレ』に持ち越しなのかもしれません。

 

フリクリ プログレ』の感想は↓コチラ

つまりは『フリクリ』ってなんだ!?『フリクリ プログレ』感想 - 六連星手芸部員が何か書くよ