六連星手芸部員が何か書くよ

基本的には、ツイッターに自分が上げたネタのまとめ、アニメや漫画の感想、考察、レビュー、再現料理など。 本音を言えばあみぐるまーです。制作したヒトガタあみぐるみについて、使用毛糸や何を考えて編んだか等を書いています。

『機動戦士ガンダム水星の魔女』覚書 各話感想と考察

備忘録的にポツポツと。木曜視聴組。

PROLOGUE

百合学園ガンダムって聞いてきたのに初っ端から旧エヴァの『DEATH (TRUE)²』を観せられた気分……。ガンダム制圧部隊の長は言ってることこそモビルドールを否定したトレーズ閣下っぽいけど、やってることは真逆の虐殺。4歳児がタッチパネルでお絵描きするみたいにモビルスーツの火器管制をし「ろうそくみたいできれいだね」……、って。 現実でも米国で幼児が銃を撃って親きょうだいを殺害してしまう事件がたまに起きてるけど、その延長線上にある景色なのかもしれない。ルブリスは劇中で赤ちゃん呼ばわりされていたり、その丸っこい見た目のフォルムや死に至る可能性のある神経接続操作等々から『翠星のガルガンティア』のチェインバーっぽい。それにしても、綺麗な台詞の裏で悪趣味極まりない描写が展開されてる脚本書かせたら大河内さんホント上手いですよね……。

ゆりかごの星

エリクトとスレッタが同一人物か母娘かは4歳のハッピーバースデーの記憶が出て来ない限りは何とも言えないなぁ……。本名を通信で敵に知られたから偽名にした、というより、あの殺人の記憶を名前ごと封印してるのかもしれないし。 ただ、それなら「初めてスレッタがこのゲームを遊んだのは4歳の頃だったろうか」なんてエアリアルが言うだろうか。エリクトにあの“ろうそく”の意味を理解させたくないならガンダムには乗せない方が良いし、娘のしてしまったことにショックを受けていたエルノラが「撃つやつ!」のスコアを娘と競うだろうか(撃つやつって抽象的だけど、これ多分エアリアルの戦闘シミュレータですよね)。それに何より、エアリアルが「お母さんは地球で魔女と呼ばれ疎まれている」と明言しているので、これはエルノラではなくガンドを撃ったエリクトっぽい。復讐の動機をナディムが殺されたこととして捉えるより、その後で魔女である自分を庇ってエルノラが火炙りにされるようなこととして考えた方が筋が通ってる。

1話「魔女と花嫁」

小説ではお母さんの方が魔女であると明言されていたけれど、サブタイではスレッタが魔女として扱われてる。ガンダムを動かせる訳だからそうなのだけど、少なくとも魔女は二人いるということになる。どう考えても『少女革命ウテナ』な展開だったりスタァライトなトマトだったりと、その系譜を意識してオマージュしてるのはまず間違いないのだけど、そんなことはみんな言ってるのであえて違う作品を出します。直近で大河内さんが脚本協力したAIの巨大感情で百合文脈(監督も認めた)もあるアニメがあるんですよ。『アイの歌声を聴かせて』っていうんですけど。行動原理がスレッタの幸せに全振りされてるエアリアルくんよろしく、アイうたでは主人公シオンの行動原理がヒロインであるサトミの幸せに全振りされてるんです。この作品を観れば水星の魔女の何かしらの手掛かりが得られるかもしれませんよ?

2話「呪いのモビルスーツ

PROLOGUEで壊滅させられたヴァナディース機関のあった小惑星って水星圏かどうか開示されてましたっけ?いやね、今回の魔女裁判で仮面の女が「水星の磁場で右手と仮面の下の顔を持っていかれた」と言ってた訳ですけど、彼女がエルノラなら水星に流れ着く前から義手だった訳じゃないですか。でも、『ゆりかごの星』によれば、当初の水星での彼女の地位は非常に低く、いつ義手になったかなんて後から情報操作してもバレそうだな、と。まあ、こういう風にアレコレ言っといてなんですけど、CV能登麻美子さんと市ノ瀬加那さんの母娘で父親は死去、娘はガンダムを操縦出来るって普通に考えたらエリクトとエルノラが偽名使ってるだけですけど。ただ、それにしては情報の伏せ方が断絶的なような気がするんですよね。あのエリクトが育ったらこのスレッタになるのかな?っていう。同じく大河内さん脚本(今はもう降板しちゃってますが)の百合アニメ『プリンセス・プリンシパル』では主人公二人の入れ替わりについて最初からそれとなく開示してたじゃないですか。むしろそれよりも『コードギアス』のルルーシュの母親についての情報の伏せ方の方と似た様な気配がするというか。そういう訳でこの件は保留です。
ウテナが百合アニメという単純なジャンルで括れないことを知っているからこそ、スレッタに近付く王子様系のキャラに警戒心も抱くというものですが、それ以上に壁ドンしてきたミオリネからのアプローチの方が熱烈なのでそういう方向には向かないだろうなという予感はあったり。ちゃんとエンディングみたいにデレるんですかね?1話で爆殺されかかってたことからわかるように、ダブスタクソ親父総帥は恐怖政治ばかりやって来た影響で人望ゼロ。仮面の女が爆殺未遂犯に「あなたが私に頼むのです」と言っていたのはガンダムに関する技術提供の密約か、それとも爆殺未遂の件を知ってて強請ってるのか、その辺全部引っくるめてダブスタクソ親父を蹴落とそうぜと手を組んでるのか。どれもありそうですけど、政治劇パートはこっちで進行してく感じなんですかね。

3話「グエルのプライド」

『ゆりかごの星』で少女漫画(多分)のような学園生活を夢見てたスレッタに対し「その漫画はフィクションだから参考にならないよ」と心の声で突っ込んでいたエアリアルくん。ツンデレ系、俺様系、王子様系、軽薄系と次々と言い寄られるスレッタを見て頭抱えてそう。“人が恋に落ちる瞬間を見てしまった”とかマジかよ……って。でもエアリアルくん、君だって「姉さんは絶対僕が守って幸せにする」ってスレッタに特大のベクトル向けてる弟系AIのそれじゃん?一方のスレッタからは一番気を許して家族として自然体に接されてトキメキみたいのが無い関係性。AI系とか弟とかその実ギャルゲーの古典属性じゃないですか。エアリアルくんもこのギャルゲーガンダムの立派な一員だよ。
横恋慕って誤用じゃないか?とか言われてたらスレッタの花嫁候補に名乗りを挙げたグエルな訳だけど、百合の間に挟まる男絶対に許さない委員会は意外とこの展開に寛容なんですね。恋愛情緒ダミアンさまくんかよと若干思いつつも、これ恋愛感情とは微妙に違くないか?とも考えたり。というのも、スレッタもミオリネもグエルも三者三様にある種のマザーコンプレックス抱えてないですか?生育歴的に判断基準がかなり偏っていて二の句が「お母さんが」になりがちなスレッタ、母親の死去についてダブスタクソ親父と確執のあるミオリネ、「良い親なんだな」と言いながら殴ったねの頬をさすり羨ましそうな様子を見せるグエル、と流石に偶然じゃあ無いでしょう。王子様系と軽薄系もその辺に何か抱えてるんじゃないですかね?まあそういうわけで、グエルは結婚してくれとスレッタに言ったのを文字通りに受け取るのは何か違う気がしていて、どちらかというと「俺のことを叱ったり褒めたりしてくれ」というもっと根源的な欲求が強いように思います。花嫁とか花婿とかいう字面に惑わされがちですが、どっちかっていうと皆が求めているのは“オカン”なんじゃないかってことです。でも、スレッタのオカン属性も復讐の件含めて上記の通り危うさがあり、これは見えてる地雷だと思います。”お母さんが“ではないスレッタという個の確立は、『ゆりかごの星』でエアリアルくんも望んでいたことなので本作の主題の一つでしょう。
仮面の女、もといスレッタのお母さん。仮面の下の顔は水星の磁場に持って行かれたと言ってましたけど普通に素顔あるじゃん。……とは言い切れなくて、オープニングに一瞬だけ映ってますけど首から肩にかけて(おそらくは脊髄部分)をガンドにしてる誰かの描写があるように、あの顔が生身とは限らないんですよね。その一方で、プロスペラとスレッタがエルノラとエリクトであるならば軽薄系ヒロインの閲覧していたプロスペラの経歴は滅茶苦茶そのもの。グエルパパとの取引は上記の予想のうち爆殺未遂に絡んだ強請が正解だったので、何かそういう情報収集とか操作に長けたトリックは持っていそう。ただ、プロスペラはスレッタに対し「(ガンダムに関する)昔の事件のことは知ってる」と言ってましたが、これに対するスレッタの無反応っぷりを見るに、スレッタの幼少期が本当にエリクトならば当時の記憶を完全に喪失してるとしか思えない。まさか幼少期の記憶と人格を切り離してエアリアルにゴーストダビングしたわけでもあるまいし。モビルスーツのAIをガンドフォーマット無しで制御出来るのは、魔女の因子を最初からモビルスーツの側にインストールしているから。……無いよね?

4話「見えない地雷」

ギャルゲー版の『水星の魔女 ときめきエアリアル』でフラグ管理をキチンとせずにチュチュルートを進めた場合、ニカ姉に背後から刺されて「あー久しぶりにスッキリした」って言われてバッドエンディングが流れる気がする(見えない地雷END)。そして今のところニカ姉を除けばエラン君だけスレッタからの好感度がズバ抜けて高い。ちょっと料理を運んで来てくれて顔がよくて背が高くて女の子に気遣いができるだけの大企業の跡取り御曹司なんか……チクショー!!みたいな感じ。これで打算で動いてたら怖いけど。それにしても、今回のメス豚二人組と比べたらグエルが相対的にかなりまともな人間に思えてきた。少なくとも決闘の場とそのルール下においてはフェアだし。一方のスレッタはこれまでメンタル強者だと思われていた節があるけれど、それはあくまでエアリアルの庇護下限定の話であって、実際には押入れや段ボール、ゴミ箱の中で弾き語りしてるぼっちちゃんとメンタルはそう変わらない気も。エアリアル=押入れ。
一見すると地球も学園も治安めっちゃ悪いんだけど、やってることが大人も子供も同レベルで低レベルじゃないですか?だって、モビルスーツ持ち出してまでやることがスモーク弾の発射かよとか、スプレーでモニター見えなくしてゲラゲラ笑ってるとか、どっちもやることその程度?みたいな。コックピットにクレイモア地雷仕掛けるくらいのことしないんだって。何が言いたいかというと、どちらもPROLOGUEで描かれたような人が蝋燭の燈になるような戦場とは縁遠い世界で過ごしてる人種なんだよなって感想を持ったということです。試験官も含めて、そういうことやってる連中がいざ本物の戦場に放り出されて役に立つのかとか考えて無さそう。それもこれも、おそらくはダブスタクソ親父が権力を一極集中させて弾圧を進めたり、技術規制して反乱の芽を摘んでる結果としてそうなってるような気がします。ぬるま湯の学園のとりあえずやってる感。ここにガンダムの技術がばら撒かれたらさぞ荒れるでしょうねぇ……。プロスペラの当面の目的ってその辺じゃないでしょうか?

5話「氷の瞳に映るのは」

新しい園に一匹で移ってきて不安でいっぱいの中、ご飯や身の回りのお世話をしてくれていた優しい飼育員のお兄さんが急に冷たく辛辣に……。たぬきの淡い初恋が終わってしまった……。
視聴者的には神の視点で見てるから、一見するとエランが強化人士(強化人間)の同胞だと思い込んでいたスレッタがそうではないと気付いたことで好意が憎悪に反転した、ように見える。だけど、最終的にとどめを刺したワードは「誕生日」と「お母さん」なので、ガンダムやガンドアーム、強化人士よりももっと根の深い生まれの差、つまり「母親や家族に大事にされて誕生日を祝われるスレッタ」と実験動物としての自分との落差に絶望したと捉えた方が真に迫っているように思われる。そしてこれは、3話でグエルが似た様な話を聞いた時に「良い親なんだな」と羨ましそうにしていたことと対比される。グエルが自分のことを叱って褒めてくれたスレッタにゾッコンになってしまったように、エランもスレッタが自分のことを母親のように祝福してくれるのであれば、あるいはグエルのように陥ちるのではないだろうか?今のところ、エランからスレッタに与えるばかりで逆のベクトルに乏しいわけだけど、それが逆転するならどうなるかわからない。
次回「鬱陶しい歌」、水星の魔女で歌といえば「ハッピーバースデー」一択。プロスペラが不在の誕生日にスレッタがいたのはおそらくエアリアルコクピットなので、彼女の誕生日を何らかの形で祝っていたのはエアリアルだろうと思われる。ろうそくに喜んでいた無垢な歌声が決闘の場に響いてスレッタが奮起したら……、絵面は激熱だけど視聴者にとってはホラーになりそうじゃないですか?

6話「鬱陶しい歌」

大体5話の考察に書いた通りになったので言うこと無いですよね?
エランの絶望はやはり強化人士とかよりもっと根の深い“誕生日と母親”に関したことだったし、エアリアルの中の人が出て来てスレッタが奮起した一方で視聴者にとっての光景はホラーそのもの。うん、言うこと無い。予想ドンピシャ。
スレッタはエランに希望を与える誰かになれてミオリネ公認でエランとデートに出掛けてハッピーエンド!!学園モノはこうでなくっちゃ!!

 

 

 

 

 

 

 

……こんな初恋の終わりはあんまりだ。
エランがクローンじゃなくて整形しただけの全くの別人とは読めなかった。一方でエリクト≠スレッタがほぼほぼ確定し、エリクトのゴースト(攻殻的な意味の)がエアリアルにインストールされてることもほぼほぼ確定。エランとは異なりスレッタの方にクローン疑惑が。エアリアル本体とガンビット11基できょうだい12人というのはゾッとしますね……。プルトゥエルブを超えてスレッタ=エルサーティですか?エアリアルが普通のモビルスーツに偽装したガンダムである以上、水星の魔女という作品も少女革命ウテナ風学園モノに偽装したガンダムであるのも道理ですよね。

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水星たぬきならきっと気付くハズ……。

7話「シャル・ウィ・ガンダム?」

微妙に脚本の色が違う感じがしたけど、やっぱ大河内さんではなかったね。ヒールを脱ぎ捨てて階段を駆け上がるのはシンデレラ……の、真逆。台詞回しどうこうじゃなくてベースにしてる哲学の差異の結果としてそうなってるんだと思う。
ガンドフォーマットの安全性と言うけれど、エアリアルは十中八九エリクトの生体パーツかゴーストダビングによって魂を移して制御してるだろうから、これを汎化させるのは生命倫理的に不可能に思える。どう落とすんだろう?あと、プロスペラが査問会でおもっきし虚偽の陳述をしてたことが公になったわけだけど、これで信用がズタズタになったりしないんだろうか?まあでも、それはガンダムを密造してたペイル社も同じか。
シャディクがニカに言ってた「助かったよ」ってどのタイミングのことなんだろう?スレッタに生徒手帳貸したこと?ファラクトに勝つために助力したこと?女遊びキャラとして描写されてきた一方で、意外と実は幼馴染みだったミオリネに執着してそうな雰囲気を漂わせてるから前者か?描写されてない何らかの裏工作という可能性もあるけど。
それにしてもスレッタはエランに気付かないか……。気付いてくれと希望してたからショックなんだけど、ショックを受けてるということは創り手の側からしたら正解なんだろうなぁ……。頭の中がエランのことで一杯のスレッタが彼がもう死んでると知ったら頭の中が空っぽになってしまうのか?その空白にエリクトの魂を書き込まれたりしないだろうね?

超合金 機動戦士ガンダム 水星の魔女 ガンダム・エアリアル 約180mm ABS&PVC&ダイキャスト製 塗装済み可動フィギュア